奥出雲~湯~

 宿泊データ 雰囲気   食 
2015/11/1  海潮荘 すべてが適度に心地よい
何度でも訪れたい
 4.2 4.0 4.2 4.0 
2015/11/2 湯宿 草庵   調和のとれた美しい宿
シンとした落ち着き
 4.5 4.5   4.5 4.2 

広島は、生まれ育って今も生活していながら言うのだけれど、本当によいところだと思う。
海も山も豊かで、適度な街もあって、食べ物も美味しいし、気候も穏やか。
が、唯一?(ってことはないけれど)にして、僕としては結構致命的な欠点がある。

そう、まともな温泉が殆どない。いや、あるにはある。たとえば小瀬川温泉という温泉はお湯はよい。が露天はない。
湯来温泉、湯の山温泉等、温泉場もあるのだけれど、僕らのように各地の温泉を「のまど」的に渡り歩いているものからすると、途方もなく物足りない。

では、最寄りの温泉地はどこだろう?と考えると、一つは海を渡って道後、あるいは西に進んで山口(こちらは温泉地が多い)、またあるいは、広島を北から保護するかのように連なる中国山地を超えて山陰は島根に抜ける。

今は中国縦貫道など整備されてきて随分近くなったが、中国山地は冬は雪も多いし、広島から島根に抜けるのは結構大変だった。
また、広島から直接、たとえば松江に抜けるような鉄道もない。公共交通機関はバスだけ。

そう、つまりは、広島から島根は近くて遠い。ちょっと乱暴な言い方をすれば、普段あまり島根を意識せずに生活している。

が、こと温泉となると、話が違う。豊かなお湯を誇る温泉場がいくつもある。

そんな中で、比較的近くて、とても好きな温泉が「海潮荘」だ。



海潮荘 http://ushiosou.com/

2015年11月1日。
ちょうど、日本秘湯を守る会のスタンプカードがいっぱいになったので、その無料宿泊券を利用して、海潮荘を再訪した。



なんというこのはないのだけれど、なんだか好き。そんな温泉宿。
人気宿なので、そんなところが人気なのかな?





古いけれど、要所要所はきっちりと更新されていて、適度にきっちり。清潔感ある。
秘湯なんだから、古ぼけててていい、というのではない。もてなしのこころが伺える。



中庭を左右に見ながら、お風呂へ。





















お湯がいい。源泉の温度がさほど高くないので少し温めだが、ぬるっとして、柔らかで、包み込まれるようなお湯。暖まる。力が抜けて、疲れや緊張が溶け出していく。ふぅ。
当然源泉かけ流し。

人がいなければ、露天の岩風呂の真ん中にある大きな平らな岩の上に寝転んでごらん。冷たい岩が心地よいよ。樹齢800年の椎の木。そして苔むした木々。見上げれば木々の間に空が広がる。
少し冷えたらまた優しいお湯に包まれよう。
いつまでも入っていられる。そんなお湯。


見えにくいけれど、真ん中の平らな岩のうえ...

連れ合いがいるなら、女風呂の方に声をかけてみるといい。湯船は一番奥で繋がっているから、誰もいなければ顔も見える。
大丈夫。竹の柵があるから、侵入はできないよ。




中風呂から露天へは、湯船を仕切る扉をあけて、お湯の中を進むといい。雰囲気がね。



朝になれば男湯と女湯は入れ替わり。女性の楽しみは朝からだね。


地下に降りると、内湯もある。



が、まぁ、ここは露天に入りたいよね。


食事。



こちらの食事は、決して派手さはないのだけれど、丁寧に、細やかな気遣いで造られているのがよく分る。
量も多すぎず、かといって物足りないようなものでもなく、適切。

ちょうどいい。というのは、こういうことを言うのかな。





奥出雲の銘酒、七冠馬(酒のまどご参照)は外せない...と、大して飲めもしないのに言ってみたりして...















そして朝。





囲炉裏の上、魚が泳ぐ。とても面白い。




ウマヅラハギ


イカ


キジハタ...かな?


カジキマグロ


マダイ


?カツオ?


マグロかな


心地よさを存分に味わい、海潮荘を後にする。数少ない、また来るという確証のあるお宿だな。




湯宿 草庵 http://www.yuyado-souan.jp/index.html

ここは少しハイクラウスの宿。

藁葺き屋根の鄙びた問題を抜けて石畳の小径を抜けて行く。
宿の周辺も十分に田舎で緑も多いのだけれど、この宿の敷地内は空気感が違う。洗練された、そして心地よい空間。
少し背筋を伸ばして、気取って歩いてもいい感じ。







まずは、チェックインのため受付のあるレストラン棟、すず菜に案内される。古民家移築の趣きのある建屋。
おしぼりとウエルカムドリンクは梅ジュース。




受付カウンター。

今回の部屋は、あまり奮発せずに割と安い部屋。といっても、ベースが高いハイクラウス。2人一部屋で宿泊すれば5万円は超える。
高い部屋は部屋風呂が付いているが、今回はこれはなし。

紫雲閣というまだ築3年ほどの洋館風の建物。これは古民家の建材を持ってきて贅沢に使った建物。新しい木材と、張りなどに使われる歴史感じる材のバランスが素晴らしい。
ともかく、紫雲閣の玄関扉を開ければ、赤い絨毯敷きの立派な階段が目に飛び込む。その奥には応接室。フリーのコーヒーやドリンクがあり、ソファがある。




団欒スペース





一階の部屋は風呂付き。我々は2階へ。
階段を上がると、応接室が吹き抜けから覗ける。階段挟んで4室。



部屋の扉を開ける。
左手に立派な洗面と、その奥には広すぎるくらいのトイレ。
正面の中扉を開けると、吹き抜けの天井裏…つまり高い天井の開放感と、重厚な古民家移設材の剥き出しの梁。
広くはないが、シングルベッド二つと、ソファ。大型のテレビ、タンス、机と椅子。家具や電話などもレトロなデザイン、あるいは古いものなのだろう…よく部屋に似合っている。
エアコンは埋め込み。
素晴らしい。センスいいなぁ。








古民家移設故。梁も美し。


お風呂は全て貸し切りになる。室内風呂の二つは夕食までは男女それぞれの風呂で、その後貸し切りに変わる。
合計6つの貸し切り風呂があるわけだ。

貸し切り札。これがでかくて、縦30センチ、横20センチってイメージ…測ってはない。
これが宿泊棟、癒しの宿の一階に置いてあって、置き場から抜くと、紫雲閣の表示ランプが一つ消える。
6つのランプ全て消えていると、風呂は空いていない、ということ。





紫雲閣から癒しの宿までは外を歩くが、これも雰囲気よくて苦にならない。作務衣を着てそぞろ歩こう。












癒しの宿で札を取り、さらに少し奥に進むと右手の小径に向かい合わせに6つの風呂がある。



到着を早めたので、全て空いている。順に様子を見てみる。
一番手前が漆、次が檜、次が石、一番奥が岩。それぞれが半露天。















まだ貸し切りになっていない向かいの2つの風呂のうち手前側は、洋風石風呂の来待石。
奥は少し階段を降りて、瓢箪。ここは瓢箪型の湯船と、ステンドグラスが雰囲気を醸し出している。
この室内風呂2つは、人気高いのか?結局ずっと貸し切られ状態になっていて、到着時に様子を見たときと、朝、風呂から出た後に覗いたときしか空いていなかった。
僕らは露天好きだから、まぁいいんだけどね。
ステンドグラス好きの吟香はちょっと残念そう。


来待石


瓢箪




結局、奥から二番目の石風呂を選ぶ。
岩風呂もいいのだけれど、檜と石が一番庭の景色が広がっていて、良い感じがした。


なみなみとオーバフロートしている。

お湯は…海潮荘よりちょっと熱め。体感的には42~3度くらいかな?
少し肌寒い天気だったので丁度いい。
こちらも柔らかく優しいお湯で、弱アルカリ性の美人の湯。少しヌルっとする。けれど、そんなにキツくないので、手が荒れたりはしないだろう。

ふぅ~、と声が出る。
お湯は優しい。適度に整備された庭は雰囲気よく、風は少し冷たく心地よい。木々の隙間から空が見えて、鳶がピ~ヒョロロ、と鳴いている。
枯葉が風に吹かれて舞い落ちる。






一時楽しんで、隣の檜をハシゴしてみる。
こちらは、石より少し奥まって、開放面を全て閉じれる二つ折れのガラスまどが両側に畳んである。
寒ければ閉めればいい。
夜にもここには来たのだけれど、そのときは半分だけ閉めた。
檜の寝椅子がある。火照ったからだを少し冷やして、またお湯に浸かればいい。









シャワーはどの貸し切り風呂にもあるけれど、半露天には一つしかないので、2人で入るなら順番に。

夜は庭がライトアップされ、これも雰囲気がよい。

一番手前の漆のではあまり開放感がないので、入らなかった。
一番奥の岩も。

我々の好みは石と檜。



よいね。ここ。

お土産物を置いている、オシャレなsouan style。
思わず、出雲の釜で焼かれたコーヒーカップを買ってしまった。


広島、五日市のコーヒー豆店、ティータイムで買ったお気に入りの豆でコーヒーを入れてみる。
コーヒーカップでコーヒーの味、口当たりが変わるのが面白い。
珠洲焼のカップよりなめらか。



ちなみに敷地一番奥は明治という最新の古民家離れがある。
この他にも離れが3つ。ここはドンドン進化しているようだ。

食事。



受付棟の奥に食事スペース。
一階、中二階、二階くらいに分かれているようで、結構複雑。
急な階段をあがり、梁を横に見ながら、我々は屋根裏のような部屋に通された。

























さすがにハイクラスの宿だけのことはあって、どれも美味しい。
次から次へ運び出される料理が待ち遠しくなる。

海も山も近いお宿は、地産地消料理が楽しめて、よいね。

お腹が満たされたら、またお風呂に入るもよし、敷地内を散策するもよし。

夜の草庵は、とても美しい。











物思いにふける(ふりをしてみる)のもいいだろう。


朝、光が部屋に射し込む。


窓の外。



 また来たいね。


ちなみに、いいお湯と美味しいものをしっかり食べたので、かなり力がついた。



この程度の岩くらい押せてしまう。かめ仙人の修行のようだ。



上の写真は烏帽子岩、下は鬼の落涙岩。

ということで、奥出雲の景勝地、鬼の舌震を散策してみたのだけれど、ここはあまり気軽に考えない方がいい。

足元濡れていると滑るし、結構起伏もきついし、ハードだ。
吟香がだんだん無口?になってくる。

(案外、僕はこういうストイック系な観光、好きなんだけどね...)


舌震の恋吊橋


亀岩あたりから上流方向。ここで水瓶(はんど)岩裏側に回ってUターン。

この裏側の道が結構ハード。


水瓶岩。


紅葉にはまだ早かったね。

少し雨もぱらつき始めたので、急いで帰る。

曇天。雨。でも車で、広島県へ県境を越えると冗談みたいに晴れる。

山陰、山陽とはよく言ったもんだなぁ、などと思ったり...
しかも、こっちの方が結構紅葉してるし。



さて、帰ろう。次はどこに行くかな~

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